ひとつ前のブログで、ワンちゃんの手術時期について記載しました。
オス 生後6~8か月(乳歯が何本残っているかで決めます。)
メス 発情1回経験後(初回発情は平均8か月と言われており、2回目発情は平均14か月です。つまり8か月から14か月の間の手術を目指します。)
メスの避妊時期については様々な考え方がありますのでまとめてみました。
①早期手術推奨論(初回の発情前に手術をする)
発情前に避妊した場合の乳腺腫瘍の発生率は0.05%ですが、1回発情後は8%、2回発情後は26%と、上昇していく、というデータ(論文)に基づきます。
②初回発情前にこだわらない論
大型犬では早期の避妊手術が尿失禁の発生率を上げる、というデータ(論文)に基づきます。
私は②初回発情前にこだわらない論を採用しています。
②を選択する場合のメリットは以下のようだと考えています。
a 手術の予定が立てやすい 初回発情は平均8か月ですが、個体差が大きく、1才になっても来ない子もいます。
一方、2回目はほぼ6か月後(≒14か月齢)に来ます。次の発情までの6か月間で、飼い主様の都合の良い日を選択することができます。
b 初回発情前は多くの子で乳歯が残っています。(避妊手術時に強制的に抜歯します。)
2回目の発情前には自然に脱落可能な乳歯はすべて抜けているはずです。避妊手術時の抜歯を最小限にすることができます。
c ワンちゃんの心と体の成長が進んでいる。科学的根拠はありませんが、あまり小さいうちに痛い思いをさせるのは気の毒な気がします・・・。
①早期手術推奨論が従来の考え方です。
乳癌で命を落とすことはあっても、尿失禁では死なないでしょ?と考える獣医師はいます。
ただ、若い頃からの毎日の尿失禁はかなり大変だと思います。
また、経験的な話ですが、ある程度若い頃に手術がしてあれば、乳癌の発生率は抑えられていると感じています。
議論の途中で今後方針が変更する可能性はありますが、②初回発情前にこだわらない論を採用しています。