本院はホテルとしてワンちゃん・ネコちゃんを預かっています。
ホテル業、繁殖業、販売業、トリミング業などに従事する事業所の代表者は講習を受ける必要があります。
先週の火曜日にその講習会に参加してきました。
そこで配布されたのがこの資料です。
これに関する内容は、講習では述べられていません。あくまで、配布されただけです。
歯石除去は医療行為であり、動物病院以外ではやってはいけません、
という正式見解が愛知県から出されました。
歯石除去は医療行為であるのか、耳掃除や爪切りのような日常ケアに含まれるのか、は以前から議論がありました。
獣医師専門の掲示板です。
タイトル部分だけ抜粋してきました。
2019年に初投稿され、2024年の10月に最新のコメントがついています。5年に渡る議論があったことがわかります。
累計7000人超がこのページを見ており、獣医師側の注目度の高さがうかがえます。
「素人悪質業者」の悪質という文言からは悪意が溢れてすぎていますが。→それだけ苦労した(トラブルの後処理をした)獣医さんがいる証拠でもあります。
歯石除去を無麻酔でやるのは確かに危険です。
・重度歯周病の子は、少しの力で顎の骨が折れることがあります。
・心臓病の子を強く押さえると、失神することがあります。
・興奮しやすい子は、発作が誘発されることがあります。
性格・健康状態によっては、手を出してはいけない子がいます。
我々は、”ヤバい”と感じたら、「薬で一時的に抑えましょう」「しっかり検査して麻酔をかけましょう」「大事なのは歯ではなく、命なので止めましょう」などと、複数の別の道が提示できます。
一方、動物病院以外では「やらない」ということは、予約キャンセルであり、店側はせっかく1時間程度を予定してても1円の収入にもなりません。
その状況で、「やらない」判断をするのは難しいだろうな、と思います。
個人的には若くて、強い抵抗をしない子に対する、無麻酔歯石除去は問題が無い、と思っていました。
うちの動物病院では、無麻酔歯石取りに一人あたり1時間はかけられません。
その意味で、サロンでやってきてもらうのはアリでした。
ただ、「この子にやったの?」「よく無事に帰ってこれたね」と思うこともありました。
「県がやってはいけませんよと言っていますよ」「性格・状態によっては危険ですよ」という情報だけお伝えできればと思っています。