本院は開院12年目となります。
レントゲン装置も12年目となりました。
現在のレントゲン装置はCR(コンピューターラジオグラフィー)と呼ばれています。12年前は最先端でした。
デジタルのフィルムで撮影します。
黒い四角い箱がフィルムです。
→箱は開けられない作りになっています。フィルムが中に何が入っているんだろうな?と思っていますが見たことはありません。
撮影後フィルムを現像機に設置し、30秒程度かけてデータを読み取ります。
データを読み取ると前のデータは消去され、再度撮影が可能となります。
昔のレントゲンは、実際にフィルムがありました。
フィルムの箱を開けて、カセッテ(黒い四角い箱)に設置し、撮影します。
撮影後は、暗室に移動し、フィルムを現像します。
刑事ドラマなどで、暗室の中でフィルムを液体に浸しているシーンは見たことないでしょうか?
現像液に浸して1分、定着液に浸して1分、乾燥させたら出来上がり、みたいな感じです。
洗濯ロープに洗濯ばさみでフィルムが吊るされているドラマのシーンが目に浮かびますが、それは乾燥中のフィルムです。
ただ、診察中にそれをする時間はありません。
それを可能にしたのがこの機械です。私がこの業界に入った約20年前はこのような機械を使っていました。
フィルムを差し込むとローラーがゆっくり回っており、現像液をつけて→定着液をつけて→乾燥させて、を自動でやってくれます。
ただ、これはトラブルの元が山積みでした。
・感光
フィルムは全て暗室で扱われなければなりません。太陽光にあててしまう失敗を”感光”といいます。
感光したフィルムは使い物になりません。
あるある1 フィルムの入っている箱のふたが少し開いていてた。→蓋を開けるのも閉めるのも暗室で手探りです。蓋が斜めで隙間があった(+_+)、むしろ閉めてなかった( ゚Д゚)、なんてことがあります。「感光」と書いて、大きく✖印がついてある箱がいくつも並んでいました・・・。
あるある2 暗室に入っているときに他の人が扉を開けた。→暗室にはノックをしてから入るルールがあります。ただ、ノックをせずに開ける、ノックしてから扉を開けるまでが早い、ノックが聞こえない、などのケースがあります。さてどっちがゴメンナサイするのか・・・の駆け引きがありました。
・現像液の劣化
現像液は劣化します。劣化するとキレイに現像されません。
現像液の入れ替えは休み時間の新人さんたちの役割でした。
現像液を出す→水で洗う→新しいものを入れる。ローラー等装置の中身も洗う。なかなかの手間でした。
誰が洗うのか、「私○○先生のお手伝いがあるから今日はできなくて・・・」の駆け引きがありました。
開院する12年前は、CRの普及率は50%未満だったように思います。
CRはまだまだ高価な時代でした。
それでも、新人時代の現像機にまつわる様々なトラブルの記憶により、CR導入の選択に迷いはありませんでした。
それが12年後には型落ちになっているんです。時代の流れが早すぎます。