「診察室で明日から使える行動学」というタイトルのオンラインセミナーを聞きました。
講演する先生は、ぎふ動物行動クリニック、獣医行動学認定医、奥田先生です。
東海三県で、動物の行動治療を目的とした専門病院はココだけだと思います。
実は、私の実家の近くであり、かつて通った中学校の近所でもあります。
実家に帰ったときに「どんな病院かな?」とチラッと外から見たりもしていました。(ちなみに外からでは何にも分かりませんでした・・・。)
今回は講演後の質疑応答が興味深かったのでまとめてみました。
講義の本編ではないので、奥田先生の本音の部分が見えたような気がしました。
Q講演に出てくる動画では柴犬が多いのはなぜか?
A患者さんの50%が柴。入院で治療するのはほとんど柴。問題が深刻なのも柴。
Q同じ家で飼っている相性の悪い犬を仲良くさせるには?
A難しい。勝手に仲良くなることは無い。飼い主の積極的な介入が必要。敢えてケンカさせて、飼い主が仲裁する、の繰り返しも方法である。
Q外でしか排泄しないイヌに中でさせるには?
A難しい。究極的には1週間外に出さない。漏れるまで我慢させる。でも嫌なものは嫌である。
Qショップで販売されている子でいい子を見抜くには?
A生後2か月での判断は難しい。敢えて言うなら、尻尾追いかけてクルクルや、触ったときに歯を当ててくるワンちゃんには要注意。
Q猫でトイレを使わない場合にはどうする?
Aトイレ砂に嫌なイメージがあるかも。トイレ砂を変える、トイレ砂をペットシーツに変える。
Q2kg程度のトイプードルがあんまり食べない。食べさせる方法は?
A運動をさせる。好きなものをあげる。(ドライフードを諦める。)脳の構造として満腹の感じ方が違うので食べなくても仕方ない。
Q認知症による無駄吠えはどうする?
A認知症は単純な行動療法ではなく、体の老化、ホルモン異常、内臓異常等も絡んでくるので、一言では答えられない。基礎疾患を考えつつ、薬物療法が必要。
問題行動とは、飼い主が問題と思うから問題である。飼い主側が考え方を変えることで、治す必要が無い場合もある。
という話もありました。この考え方に私は大賛成です。
その例として・・・
Q犬が散歩で引っ張るのを治すには?
A犬は引っ張っているのではない。犬の足が速く、ヒトの足が遅いので、結果引っ張るようになっているだけ。人が300m程度一緒に走ってあげれば、それ以降は納得して歩くようになることもある。
Qゲージで飼っている猫が食器に便をするのを何とかするには?
Aストレス行動であり、ゲージを大きくする。
一方で、トイレが汚れない、お掃除が楽と考えれば、問題行動とは言えない。
私は診察室で「個性と思って付き合ってあげると、お互い楽ですよ。」というお話を良くします。
「問題行動と思わないことも必要」と専門家が言っているのを聞き、「そうそうそうそう」と思いました。