毎年たくさんの新しい薬が発売されてきます。
多くの薬は「少し変えただけ」、であることが多いです。
例えば、美味しくしてみました、小粒にしてみました、成分を少し変えました、のような感じです。
そっちの薬もいいけど、既存のでも問題ないよね、となります。
ただ、5年に1回くらい、獣医業界の治療を大きく変える力を持つ商品が出てきます。
10年以上前の心臓病治療薬であるベトメディン、約5年前のアトピー性皮膚炎の治療薬であるアポキルなどです。
(個人的には便秘改善の消化器サポート可溶性繊維も大発明だと思いますが、上記の2商品より賛同する人は少ないと思います。)
こちらは、発売から1年ちょっと経過した、外耳炎治療薬”ネプトラ”です。
メーカーの説明の趣旨はこうなります。「耳の中に全量1mlを投薬します。28日間外耳炎が改善し続けます。」
まだ使用経験は5-6頭ですが、多くの子で耳がきれいな期間が3-6か月程度続くのです。
「1回の投薬で梅雨~夏の期間、耳掃除無しで快適に過ごせます」が達成できるなら、なんと素晴らしいことでしょうか!!
外耳炎の治療はネプトラ、という時代が来る可能性がある、と思います。
問題点というより疑問点①
どの子で効いて、どの子で効かないのかが分からない。
3か月以上効果が続くならコストパフォーマンスは良い、と言えます。
ただ、メーカーが保証する有効期間は28日間です。29日目に外耳炎が再発しても文句は言えません。
1か月しか聞かないなら、ガッカリします。
ガッカリな子を出さないように、どんな症状の子は長く効きますか?とメーカーさんに聞いても、「わかりません」と返ってきます。
問題点というより疑問点②
繰り返し使用した場合の安全性
長期間効果がある=副作用も長期間にわたる可能性がある、とも言えます。
半年間耳の状態が良くても、そのうち悪くなります。
年1回の投薬を、10年続けても大丈夫ですか?年2回の投薬は安全ですか?とメーカーさんに聞いても、「わかりません」と返ってきます。
これは、メーカーさんに安全性を訪ねた際に頂いた資料の抜粋です。
商品は1mlの液体ですが、安全性試験として、3倍量、5倍量で試験しました、という内容です。
耳の穴に1mlも入れれば溢れてきます。
5mlは絶対入らないと思います。
むしろ3mlの時点で半分以上は溢れたでしょ?この実験無理かも、という議論はなかったのかな?
まだまだ議論するべき点は多いと感じています。でも効きます。